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チアガール「Lamigirls」

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全選手個人成績(投手)

全選手個人成績(野手)


・2014年成績 

前期:39勝19敗2分 .672(1位) 

後期:27勝32敗1分 .458(3位) 

シーズン:66勝51敗3分 .564(1位、優勝) 

ピタゴラス勝率:60勝60敗 .500

得点:522(2位) 失点:522(2位) 得失点差:0(2位)

1試合平均観客動員数:5439人(1位) ホーム1試合平均観客動員数:6241人(1位)

 

 

・チームデータ【打撃・走塁】

得点:522(2位)

OPS:.699(2位)

打率:.274(2位)

出塁率:.329(2位)

長打率:.369(2位)

本塁打:52(2位タイ)

四球:288(3位タイ)

三振:693(3位)

犠打:57(3位)

犠飛:42(1位タイ)

盗塁成功率:76.1%(1位)

 

 

・チームデータ【投手・守備】

失点:522(2位)

防御率:3.75(3位)

先発防御率:3.79(4位)

救援防御率:3.67(1位)

FIP:3.69(2位)

WHIP:1.38(3位)

BB/9:2.72(4位)

K/9:5.83(2位)

被本塁打:46(1位)

失策:109(3位)

DER:.653(3位タイ)

 

 

・月別チーム成績

3月:4勝2敗      得点25 失点17 得失点差+8

4月:14勝7敗    得点86 失点82 得失点差+4

5月:12勝7敗1分 得点99 失点69 得失点差+30

6月:9勝3敗1分   得点74 失点58 得失点差+16

7月:6勝10敗    得点60 失点80   得失点差-20

8月:12勝10敗1分 得点98 失点116  得失点差-18

9月:9勝11敗    得点77 失点91  得失点差-14

10月:1敗     得点3   失点9  得失点差-6

 


・状況別成績

ホーム:36勝24敗(1位)

アウェー:30勝27敗3分(1位)

1点差試合:25勝11敗

延長戦:4勝1敗3分

対右先発投手:58勝33敗2分

対左先発投手:8勝18敗1分

 

 

・チームサマリー

最多貯金:20

最多借金:0

1試合最多得点:12

1試合最多失点:16

最大連勝:7(6/8~6/19)

最大連敗:4(7/4~7/9、9/23~9/27)

完封:7

被完封:5

 

 

 ここ4年で3度の台湾シリーズ進出と2度のシリーズ制覇。球団が推し進める桃園の本拠地化の成功、球場の環境改善、チアガール「Lamigirls」の存在なども相まってすっかり今では台湾プロ野球で一番の人気球団に名実ともに成長した感がある。10月末からは桃園にてNPB・千葉ロッテとの交流試合を3試合行い、ロッテの主力が欠場しながらも2勝。日本の野球ファンにも少なからずのインパクトを残したであろう、ラミゴの今シーズンの歩みを振り返る。

 

 開幕戦は3月23日に義大の本拠地である澄清湖で行われ、開幕投手は前年ヤクルトを戦力外となり4年ぶりの台湾球界復帰となった正田樹が務めた。いきなり延長11回までもつれ込む接戦を義大リリーフの不安定さ、林泓育の3打点による活躍でものにすると、26日の2戦目統一戦では前年楽天に在籍したレイ(銳)が5回無失点の好投で連勝。3月は4勝2敗の首位と順調なスタートを切った。

 

 4月に入るとさらに勢いを増し4連勝以上が2回、連敗は2連敗が1度のみ。特に兄弟に対しては接戦でこれでもかというほどに強さを見せつけ、4月末まで対兄弟の1点差試合は5戦全勝。開幕から打線が極度の不振に陥り最下位に沈む兄弟とは裏腹にラミゴは2位統一と3ゲーム差をつけ首位をキープした。

 

 5月も変わらず好調を維持していたが、外国人選手の入れ替えが始まった。開幕投手を務めチーム最多の8先発もERA4.91と今ひとつ振るわなかった正田樹を12日に解雇すると代わりに同じ先発左腕のメリット(猛雷特)が登録され、4人目の外国人としてハウザー(豪瑟)を獲得し二軍で待機させることとなった。

 

 6月は前期シーズン最後の7試合を怒涛の7連勝でフィニッシュ。13日に本拠地桃園で兄弟に1-6で勝利し前期優勝を決めた。開幕からフル回転でセットアッパーとして活躍していた陳禹勳がこの日も登板し新人の前期登板数記録を更新した。(35試合)23日に行われたシーズン途中のドラフトでは1巡目で全球団競合の末11年に2Aで16HRの長距離砲、陳俊秀を獲得。彼以外にも4位で指名しシーズン終盤に活躍を見せた洪聖欽といった即戦力に加え、指名した6人中3名が20歳以下という育成も考慮に入れたバランスのいい指名でドラフト最大の勝ち組と言われた。30日に発表されたオールスター先発出場選手においては白組の10ポジションのうち7ポジションをラミゴの選手が占め、人気を改めて知らしめる結果となった。

 

 しかしながら後期の戦いは前期の勢いを完全に失っていた。まず後期開幕となった桃園での兄弟3連戦、前期17勝3敗のお得意様を相手にまさかの3連敗を喫するとその後の義大戦でも2-9で敗戦し後期4連敗スタートとつまづいた。これまで安定した投球を見せていた王溢正やレイが怪我で離脱すると先発ローテーションの薄さが浮き彫りとなり7月の1試合平均失点は5.00。8月に入り2人が復帰も状況は変わらず、先発リリーフと役割を問わず活躍を見せていた許銘傑が5日に右前腕部の炎症で1か月離脱。鄭承浩や郭駿傑などでなんとか穴を埋めようとしたが台所事情は苦しいままであった。また開幕からフル回転していたセットアッパーの陳禹勳も後期に入ると疲れからか失点する場面が多くなっていたのも頭を悩ませる問題となっていた。明るい話題はルーキーの藍寅倫が打撃の好調を買われ下位打線から2、3番といった上位打線に入るようになり打率3割をキープしたことくらいであった。下旬からは外国人登録期限が迫っていることもあり入れ替えが活発になり、7月に月間MVPを獲得も8月に入り0勝2敗、ERA4.74と調子を落としていたメリット、リーグトップのERA2.17をマークも怪我と8月のスタッツ低下が目立っていたレイを解雇し、代わりにタルボット(泰霸)、マイナー(邁能)を登録し、加えて開幕から抑えとして抜群の安定感を見せていたメヒア(米吉亞)の3人で外国人枠を確定させた。


 8月終了時点で後期首位の義大とは3.5ゲーム差と9月を迎えた時点で逆転優勝を狙える位置につけてはいたものの投打両方における誤算が後期優勝を結果的に遠のかせる形となった。まず投手では代わりに登録されたマイナーが先発として全く機能せず、9月4日に7回無失点のピッチングもそれ以降は3度の登板でいずれも5回持たず5失点以上という酷い有り様。野手ではそれまでルーキーながら走攻守でチームを引っ張ってきた藍寅倫が6日の義大戦で一塁にヘッドスライディングを行った際に手首にひびが入りシーズン中の復帰が絶望に。以降チームは3度の連敗と波に乗り切れぬままシーズン1位は確定させたものの、後期は3位とやや不安を残す形でシーズンを終えた。


 ラミゴは10月5日にシーズン最終戦を終えて以降18日の台湾シリーズ開幕まで時間の余裕があったため紅白戦などを行い万全な調整でシーズン最終戦で勝利し劇的な後期優勝を決めた兄弟と初の台湾シリーズで対決することとなった。18日の第1戦はタルボット-陳禹勳-メヒアのリレーで兄弟打線を完封すると、2戦目は2回に4点を先制されるも逆転し6-7で息の詰まる打撃戦を制し連勝スタート。兄弟ホームの新莊に舞台を移した3戦目は序盤からラミゴ打線が兄弟先発サンチェス(桑契斯)の不安定さ、相手の守りの乱れにもつけこみ3回までに5点を加え圧倒、一気にシリーズ制覇に王手をかけた。4戦目は兄弟先発林煜清の前に6回1失点と抑え込まれ黒星を喫したが、5戦目は初回にタルボットが降板するアクシデントで3点を先制されるも5回に4安打と1四球を集め4点を返し逆転すると9回には4点を追加し勝負を決め2年ぶりのシーズン制覇を果たした。


 10月7日に急遽実施が発表された台日プロ野球チャレンジマッチでもラミゴは外国人選手を欠いた陣容ながらロッテ相手に2勝1敗と健闘した。3戦で合計1000万元以上の収入があったとも言われ日台問わず多くの野球ファンが球場あるいはCPBLTVのネット中継、テレビ中継などでこのチャレンジマッチを目にし台湾野球の魅力、ラミゴの人気を感じることができた実りの多いものとなった。

 

 

 投手陣はERAが3.75のリーグ3位と良くはなかったものの、優勝を果たした前期だけで見るとERA3.06はリーグトップ。特に前年のリリーフの柱だった陳正達、謝長融が開幕から不在で不安視されていた救援陣がルーキー陳禹勳、そして先発から抑えに転向しリーグ新記録の35Sをマークしたメヒアが盤石で勝利の方程式が確立されていた。その他にも昨年ルーキーながら義大を戦力外となりラミゴが獲得した黃偉晟が52試合でERA2.35と活躍を見せたのも嬉しい誤算だった。終わってみれば救援防御率はリーグトップの3.67と陳正達、謝長融の穴を感じさせなかった。

 一方先発投手はリーグ最下位のERA3.79と振るわなかった。最多イニングを投げたのが王溢正(108.2IP)で規定投球回に到達した投手がおらず、チーム最多勝は8月末に退団したレイ(9勝)と二桁勝利をマークした投手も不在だった。台湾人の先発では2年目の王溢正、許銘傑が共に7勝も前年9勝のベテラン右腕曾兆豪がわずか1勝と不振で、それに続く先発投手がシーズンを通して確立できなかった。前年218イニングを投げたローリー(雷力)の穴はレイ、メリット、タルボットなど外国人先発投手で何とか埋めたものの台湾人先発投手の育成が引き続き課題となったままだった。来季は夏場からローテに入り安定した投球を見せた郭駿傑、2年目となる林樺慶らの成長に期待したい。

 

 野手陣はシーズン得点は522点の2位ながら前期は283得点、打率.284はリーグトップ。またリーグトップの121盗塁と足でかき回す攻撃も積極的に行い、盗塁王の林智平(31盗塁)をはじめ藍寅倫(20盗塁)など2桁盗塁を決めた選手が4人もいた。野手陣の顔ぶれは前年と大きく変わらなかったもののやはりルーキー藍寅倫の加入が打線を活性化させ.339 4本 39打点、加えてあらゆる打順をこなす器用さ、スピードと広い守備範囲を見せ見事新人王を獲得。林智勝(11HR、73打点)、林泓育(16HR、60打点)の主軸を中心に多くの故障者に見舞われることなく無事一年を戦い抜いた。野手陣における誤算は以前から衰えが指摘されていたベテラン陳金鋒の大不振と鳴り物入りで途中入団した陳俊秀である。今季から充実した外野陣から外れる形となり代打での出場が主だった陳金鋒は06年の台湾プロ野球入団以来初の0HRと熱い歓声を送るファンを裏切る結果となってしまった。そして陳俊秀は入団前にプレーしていたポップコーンリーグからの環境の変化に適応できなかったのか26試合で.247 2本 8打点と平凡なスタッツに終始した。林智勝が1Bを守る場合は陳俊秀がLFを守ることが多かったものの守りでも不安が多く、来年は激戦の外野陣において開幕からの活躍が求められる立場となる。

 

 充実したシーズンを過ごしたラミゴだが、喜んでばかりもいられないのが現状だ。その原因は投手陣にある。後期のERA4.44はリーグ唯一の4点台であり、絶大な安定感を誇った抑えのメヒアは西武へと移籍し、同じく快進撃を支えたリリーフ陣においてはセットアッパーの陳禹勳が65試合と投げまくった影響が2年目の来季に出るのではと危惧されている。今シーズンは全体の3割を占めた1点差試合で25勝11敗と勝利をものにしてきただけにリリーフの弱体化は連覇を目指すうえでは何としても避けたい課題である。来季はチャンピオンとしてチーム史上初の2連覇を目指す立場となるが前期の頃のような快進撃をもう一度見せ、球場に詰めかけた多くのファンを魅了したい。

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