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チアガール「犀晴女孩」

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全選手個人成績(投手)

全選手個人成績(野手)

 

 

・2014年成績 

前期:26勝33敗1分 .441(3位) 

後期:32勝27敗1分 .542(2位) 

シーズン:58勝60敗2分 .492(3位) 

ピタゴラス勝率:64勝57敗 .529

得点:565(1位) 失点:533(3位) 得失点差:+32(1位)

1試合平均観客動員数:4731人(4位) ホーム1試合平均観客動員数:4293人(4位)

 

 

・チームデータ【打撃・走塁】

得点:565(1位)

OPS:.722(1位)

打率:.292(1位)

出塁率:.342(1位)

長打率:.380(1位)

本塁打:50(4位)

四球:288(3位タイ)

三振:631(1位)

犠打:65(2位)

犠飛:41(3位)

盗塁成功率:72.5%(2位)

 

 

・チームデータ【投手・守備】

失点:533(3位)

防御率:3.80(4位)

先発防御率:3.77(3位)

救援防御率:3.86(3位)

FIP:3.51(1位)

WHIP:1.31(1位)

BB/9:2.36(1位)

K/9:6.86(1位)

被本塁打:58(4位)

失策:108(3位)

DER:.653(3位タイ)

 

 

・月別チーム成績

3月:3勝4敗      得点40 失点29 得失点差+11

4月:10勝11敗      得点108 失点110  得失点差-2

5月:108        得点74 失点69   得失点差+5

6月:3勝10敗1分   得点46 失点59 得失点差-13

7月:9勝6敗      得点72 失点62   得失点差+10

8月:12勝10敗      得点113 失点95   得失点差+18

9月:9勝8敗1分   得点86 失点74 得失点差+12

10月:2勝3敗    得点26 失点35   得失点差-9



・状況別成績

ホーム:29勝29敗2分(4位)

アウェー:29勝31敗(3位)

1点差試合:14勝18敗

延長戦:5勝6敗1分

対右先発投手:50勝47敗1分

対左先発投手:8勝13敗1分

 

 

・チームサマリー

最多貯金:1

最多借金:8

1試合最多得点:16

1試合最多失点:19

最大連勝:5(9/14~9/25)

最大連敗:6(4/8~4/16)

完封:9

被完封:3

 

 

 「アメリカ式野球」は果たして台湾に根付くのか?そんなファンの期待と不安を背に球団二年目となる義大は昨オフのアジアシリーズ前に打撃コーチからアメリカ人初の監督に昇格したダラス・ウィリアムズを船頭に迎え優勝という目標へと出航した。結論から先に言ってしまえばこの冒険はまだ道半ばの段階でこれからその決断の成果が問われる時になるだろう。この一年義大が果たしてどのような軌跡を辿ったのか詳しく見ていくこととする。

 

 開幕戦は3月22日、統一とのカードだった。しかし昨年最優秀防御率獲得と抜群の安定感を見せた開幕投手の希克(シスコ)がまさかの3.0IP/5Rと乱調で黒星スタート。続く23日の本拠地開幕となったラミゴ戦ではリリーフ陣が崩れ延長11回までもつれるも連敗。25日の兄弟戦でもサヨナラ負けを喫し3連敗となり、その戦いぶりは昨年の台湾シリーズ、アジアシリーズの不調からいまだに抜けきっていないかのように映った。しかし26日の兄弟戦でルーキー左腕の黃勝雄がプロ初勝利を挙げるとそこから3連勝。3月は3勝4敗とまずまずのスタートを切った。

 

 4月も途中6連敗を喫し16日には最下位に転落したが何とか持ち直しこの月は10勝11敗で終了、月末時点で最下位兄弟と4ゲーム差をつけての3位。誤算は高國輝の離脱による打線の攻撃力不足を補うために獲得した李那瑞(リナレス)が中軸として全く機能しなかったことで、12日に早くも解雇。幸いにも4月の平均得点は5.14点と打線は好調だったが、投手陣がそのリードを吐き出してしまうような状況で、特に昨年15勝で最多勝の林晨樺が大不振に陥り勝ち星が全くつかなかった。

 

 5月に入るとリナレスの代わりにMLB156勝の超大物右腕、賈西亞(ガルシア)を獲得し昨年のマニーラミレス旋風の再来と現状打開をチームは狙った。ただチームは大きな連勝連敗もないまま試合を重ねていくのみで月末時点で2位統一に3.5ゲーム差をつけられての3位と状況は変わらないままだった。5月はルーキーの高孝儀が1番センターに定着し、また打撃が売りの捕手である陽冠威も5番に定着し4月の打率.426、5月の打率.327と打ちまくっていた。16日に前年に統一でプレーしたリリーフの坎諾(ビスカイーノ)を獲得し抑えのポジションを偉克(バスケス)を争う形となった。

 

 6月は打線が不振に陥ったこともあり大きく負け越し、加えてそのようなチーム状況の中でここまで最多勝、最多奪三振の二冠と活躍していたシスコがKBO・KTへの移籍による退団という悲しいニュースが飛びこんだ。大黒柱が抜けた先発ローテは層が薄くなりガルシアに中4日で投げさせるなどおんぶに抱っこの状態となったが、ガルシアはこの月ERA1.64と台湾に適応したこともあり月間MVPを獲得する活躍を見せた。26日にはシスコの穴埋めに克拉帝(ガラテ)を獲得し後期への巻き返し態勢を整え、また23日のドラフトでは最多の10人を指名、1位指名でMLB経験のある羅嘉仁を獲得し課題だったリリーフ陣にとって大きな補強となった。


 後期スタートとなった7月は最初の6戦は3勝3敗の5割スタートながら以降2連勝、4連勝と波に乗り月末時点で2位兄弟と1ゲーム差をつけての首位。好調の原動力は今シーズン絶望と見られていた高國輝の復帰である。怪我の影響で守備につくことはできないものの5番に座り前期出場できなかった鬱憤を晴らすかのように打ちまくった。19日にはリリーフに転向してから数字を残していたバスケスが解雇されガラテが登録。シスコが退団して以降先発ローテが手薄だっただけにこの選択はやむを得ないものだった。

 

 8月に入っても高國輝の勢いは止まらず8月は.311 5HR 18打点。投げる方でも入団したばかりのガラテが好投を続け3勝、ERA1.04で月間MVPを獲得。しかしながら2日から7日まで4連敗とつまずくと、すぐさま8日にはウィリアムズ監督を打撃コーチに、打撃コーチのボン・ジョシュアが監督に就任するというテコ入れを球団は行った。13日には抑えを任されながら3敗を喫するなど安定感に欠けたビスカイーノを解雇し、前年途中にラミゴに在籍したリリーフ左腕の路易士(ルイス)を獲得した。また記録に関するニュースでは4番で安定感ある打撃を続けていた主砲の林益全が29日の試合で10打数連続安打の職棒新記録を作った。後期はこの月も兄弟との一進一退の首位争いが続いたが26日に兄弟と入れ替わりで首位に立つと月末時点で兄弟に2ゲーム差。球団史上初の後期優勝が視野に入った。

 

 9月に入っても高國輝の打棒は止まらずこの月のスラッシュラインは.306/.434/.742、8HR 23打点。特にラミゴと相性が良く12~14日の桃園での3連戦では4HR。文句なしで9・10月の月間MVPを獲得し、後期からの出場ながらラミゴの林泓育の16HRに27日に追いついたのは異常というほかない。一方開幕からレギュラーに定着し新人王の有力候補だった林威廷が3日の試合でバントを試みた際に右手指を骨折し約1カ月離脱するというアクシデントにも見舞われた。アジア大会に義大からは捕手の林琨笙、そして途中加入ながら抑えとして抜群の安定感を見せていた羅嘉仁が代表に選出されチームを離れたがその影響もなく、チームは兄弟との抜きつ抜かれつの争いを繰り広げながらも首位を譲らず。月末時点で1ゲーム差をつけ首位に立ちいよいよ勝負の10月、残り5試合を戦うこととなった。

 

 10月の残り5試合のうち4戦が兄弟戦とマッチレースと呼ぶにふさわしい両者だった。2日と3日に行われた本拠地澄清湖での兄弟2連戦は1勝1敗の五分も4日の統一戦でサヨナラ負け、再び兄弟とのカードとなった5日の試合では打線の不振により敗れ、残り1試合を残して兄弟に首位を譲り、更にマジック1の点灯も許してしまった。8日の兄弟との今季最終戦は是が非でも勝たなければいけない土俵際にまで追い込まれたが試合は延長10回サヨナラ勝ちで首の皮一枚つながり、逆にマジック1を点灯させ兄弟を追い詰めた。優勝の行方は12日の統一-兄弟戦に委ねられたが、兄弟が完封勝ちし勝利の女神は義大に微笑まず2014年シーズンが終了した。

 

 投手陣は533失点(3位)、ERA3.80(4位)と前年から変わらず投手陣に若干の弱さを見せた。そのような中にあってFIP、K/9、BB/9といったスタッツがリーグトップだったのは外国人投手の活躍によるところが大きい。勝ち頭のガルシアは5月からの加入もリーグトップタイの11勝でその実力をいかんなく発揮し、2年目で大黒柱的存在となったシスコは6月1日が最後の登板ながら8勝と2年目の飛躍を見せ、7月中旬から加入のガラテも7勝を挙げ後期優勝争いに大きく貢献した。台湾人投手に目を移すとルーキー左腕の黃勝雄が終盤調子を落とすも9勝、119Kで見事最多奪三振のタイトルを獲得したことはチームにとって大きな救いだ。その一方で台湾人エースとして期待されていた林晨樺は前年の15勝から僅か1勝と大きく成績を落とし、ベテラン陽建福も重なる怪我でわずか3勝と期待を裏切った。リリーフは日本から台湾に戻った林羿豪がチームトップの59試合に登板しERA3.05、同じく日本帰りの蕭一傑は途中先発とリリーフを行き来しながらも33試合に投げるなど健闘したが安定感には欠けた。そんな中にあってリリーフで結果を残したのがルーキー黃柏揚(28試合ERA2.27)と抑えに定着しシーズン12試合登板で失点なしの羅嘉仁だった。この二人は来季勝利の方程式に加わることはほぼ間違いなく、開幕からの活躍に期待したい。

 

 一方で野手陣には良いスタッツが並ぶ。前年と同じく得点はリーグトップを維持し、中でも高國輝は52試合で.309 18HR 57打点 OPS1.079と目を引く活躍ぶりで見事本塁打王のタイトルを手にした。他にも打点王の林益全(.346 14HR 88打点)、首位打者、最多安打の二冠となった胡金龍(.350 5HR 55打点)と打力のある野手が揃い、加えて彼らが30歳手前の丁度ピークのある時期に差し掛かっているのも大きかった。若手野手にも今年は有望株が多く、打撃型捕手としてブレイクした陽冠威(.319 8HR 45打点)、打率.313と新人王争いに最後まで加わった林威廷、今季出場82試合と大きく出番を増やした張詠漢らはその代表である。ピークを迎える主力野手と成長著しい若手がうまく融合している点は他球団にとっては羨ましい限りであろう。

 

 オフは投手コーチに06、09年WBCベネズエラ代表の投手コーチを務めたロバート・エスピノザ、副GMにインディアンスマイナーでコーチ経験を積んだかつての名捕手である葉君璋を招聘し引き続きアメリカ式の野球スタイルを継続していくこととなった。中には練習方法などの違いに若干の戸惑いを見せたが今ではそれに慣れ手ごたえを感じる選手も増えたという。義大が行った「試み」は今のところ成功へ向けて順調のようにも思えるが果たして万が一来季結果が出なければファンや球団首脳はどのような反応を見せるかも気になるところだ。かつての統一も打撃コーチや投手コーチに日本人やアメリカ人コーチを据えていたものの結果が出なければ台湾人に戻し、それで結果が出なければまた外国人コーチに入れ替えということを行っていた。しかし結果が出なくとも外国人コーチから学ぶものは現在の職棒にとっては多く、それを吸収し彼らがいなくなった後もチームの財産として残せるかどうかが最も重視すべきことであろう。幸い義大にはそれを取り入れるだけの素地があり、またチームにもアメリカ式のスタイルはフィットしているように思える。来季は学び得たものを優勝という成果に変えることができるか今から目が離せない。

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